身は花とともに落つれども
心は香とともに飛ぶ
弘法大師空海 『性霊集』より
私たちは、この世に生まれたからにはいつかは死んでいかなくてはなりません。
昔から、遅れ先立つのはこの世の定めという通りです。
しかし、その限りある人生をいかに生きるか。
生れ落ちた境遇や条件は人によって違いますが、大切なのは毎日の過ごし方なのですね。
弘法大師の上の言葉は、私たちのこの肉体は、咲き開いた花がやがて散るようにいつかは落ちてしまうものである。
しかし、善き人生を送った人の心は、花の香りが散った後も遠くまで飛ぶように、みほとけの浄土に昇る。
そして、そのかぐわしい香りは残された人の心にいつまでも残るだろう、という意味です。
短い言葉ですが、私たちに『かけがえのないあなたの人生ですよ』と、静かに語りかけていますね。
季節は秋から冬。
春から夏へと咲き誇った花の姿はなく、錦秋に照り輝いた葉も散り終えようとしています。
晩秋から初冬のひと時、この言葉とともに来し方を振り返ってみてはいかがでしょうか。