住職日記

新しい年の願い

善く生きよう (いのりの道)

日本語の『いのり』は命の誓い、命の約束を意味します。「い」が「いのち」を表し、「のり」が「宣る」「祝る」すなわち、真心からの誠の言葉を表します。

それは神仏や祖霊や故人の御霊に「善く生きてまいります」とお誓いし、約束をすること。さらに「のり」には「徳・紀・礼・憲・規・倫・範・教」の字があるように「生きる上で大切にしたいこと」の意があります。仏の教えを示す「法」もまた「のり」です。

観音さまや神仏に、あるいは大切な祖先に手を合わせて祈るということは、人として大切にすべきことを守り、一日一日、一瞬一瞬を善く生きていくということなのですね。

長谷の観音さまに祈る皆さまは、観音妙智力のご加護を念ずるとともに「善く生きてまいります」とお約束をしましょう。そして観音さまの心である「慈悲」を「のり」としてまいりましよう。慈悲とは「慈しみと思いやり」です。それは「与えること」と「分かち合うこと」です。神仏の法にかなう生き方を大切にする人の願いこそかなってまいります。

しかし現実に生きるのは悩み多く、迷いもあり、苦しみや悲しみばかり。大切な観音さまとの約束をつい見失うこともありますね。そんな私たちのためにこそ、観世音菩薩はその大慈大悲のまなざしを向けてお守りくださいます。不安や悩み多きこんな時代だからこそ、大切な心(のり)を見失わないように、月に一度、週に一度、日に一度と観音さまにお祈りください。お参りください。観音さまは、必ずお導きくださいます。

長谷寺 住職 合掌

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