梅雨を楽しむ「お寺暮らし」

梅雨のない北海道をのぞいて、日本全国梅雨入りしましたね。
青空がキラキラ輝く日もいいですが、雨の日もまたよいものです。
お寺には、雨の風情が似合います。

樹々の葉に雨が当たる音が、静かにお寺全体をつつんでいく。
そんな雨の音を聴きながら、梅雨を楽しむ「お寺暮らし」です。

梅雨入りしたら、まずお寺の玄関飾りを紫陽花に替えます。

季節ごとに替える
ちりめんの吊るし飾り

「今日という日は、私の残りの人生の最初の1日なのだ」

という言葉は、檀家さんの80代の女性が彫って下さったもの。
ここを通るたびに、この言葉を胸に繰り返します。

そして、梅を1キロ買ってきます。

今年は南高梅で

毎年、梅雨の間に梅シロップを作るのです。
梅シロップと、赤しそのジュースは、夏のお庭仕事のあとの最高のごほうび。
うーん、1キロでは足りないかも。

爽やかな梅シロップ
懐かしい夏休みの味
赤しそジュース

この時期の食べ物のお楽しみもあります。
タケノコです!
「雨後のタケノコ」と言いますが、雨が降ると本当に、あっちにもこっちにもタケノコがにょきにょき伸びてきます。
気づかないでいると、あっという間に竹になってしまうので、竹林整備をかねて住職がタケノコを採ってきてくれます。

「雨後のタケノコ」
どっさり!

長谷寺の竹は「淡竹」(はちく)。孟宗竹より細く、アクが少ないのが特徴です。
長野にお嫁に来てすぐの頃、梅雨の時期、スーパーにいっせいにサバ缶が山積みになるのを見て、え、なぜ?サバ缶の旬?と首をかしげたものです。
信州のこのあたりでは、タケノコとサバ缶の煮物が郷土食なのでした。

わが家でも、煮物はもちろん、タケノコステーキ、タケノコの天ぷら、タケノコカツなど、いろいろなタケノコ料理をいただきます。これも梅雨の間だけのお楽しみ。

樹や花が雨に濡れているのを、じっと見ているのも好き。
どんなに水やりをしても、シトシトしみこむように降る雨にはかなわないんですよね。
「あ~喜んでる、喜んでる」と、幸せな気持ちになります。

以前、ボーッと雨を見ていた時、ふっと降ってきた言葉があります。

「雨が降ったら、傘をさせばいい」

どんな人でも、何か心配なことや不安なことがありますよね。
人生、いつも晴れの日ばかりではありません。
雨の日だってある。
でも、雨が降ったら、傘をさせばいい。
濡れたいときには、濡れたっていい。
できる準備や心構えはしておいて、
雨が降ったら、傘をさせばいいんだ。

ふと降ってきたこの言葉は、私にはとても大切な気づきになりました。

虹を見たいなら、雨が必要ですものね。

雨の日は、電話も来客も少なく、お寺暮らしも静かです。
ひととおり仕事が終わったら、
コーヒーを飲みながら窓の外の景色をながめたり
雨の音を聴きながら本を読んだり。
雨のにおいを胸いっぱい吸いこんで、
心の中も静かに洗い流してみましょう。

そんな、梅雨の日の「お寺暮らし」です。

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